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気になる 50年にわたる画業の代表作紹介 平塚市美術館で「物語る 遠藤彰子展」

新作「雪・星ふりしきる」(右)と最新作「黒峠の陽光」(左)の前に立つ、洋画家の遠藤彰子=平塚市美術館
新作「雪・星ふりしきる」(右)と最新作「黒峠の陽光」(左)の前に立つ、洋画家の遠藤彰子=平塚市美術館

 相模原市在住の洋画家、遠藤彰子(74)の展覧会「物語る 遠藤彰子展」が開館30周年記念展として平塚市美術館(同市西八幡)で開催中だ。500号以上の大作群を中心に、今展のために描いた最新作など50年にわたる画業の代表作38点を紹介する。「人間の存在」や「生きている実感」をテーマに、圧倒的な存在感と深い物語性を秘めた独自の世界観を堪能できる。

 遠藤は武蔵野美術短大を卒業後、22歳で結婚して東京都内から相模原市へ転居。「周りは田んぼや雑木林ばかり。散歩すると野ウサギやタヌキをよく見かけた」。自然に囲まれた暮らしの中から「動物と人間が楽園でカーニバルする」という素朴で童画的な「楽園」シリーズが生まれ、1972年に画家としてデビューを果たす。70年代後半からは不安と希望を抱く人々を都市空間に描く「街」シリーズを制作。86年に同シリーズの探求を凝縮した「遠い日」で洋画家の登竜門とされる安井賞を受賞した。



高さ3メートル以上の迫力ある作品が並ぶ「大作」シリーズの一角
高さ3メートル以上の迫力ある作品が並ぶ「大作」シリーズの一角

 89年からは、500号(縦約2.5メートル、横約3.3メートル)を一つの単位とする大作シリーズの制作を開始。大胆な構図と細かい描写で「大きな物語」と「小さな日常」を巨大なキャンバスに描き出した。大作の原点は子どものころの体験だ。「ろう石で道路に描いたり、塀まで延びたり。いくらでも大作が描けるでしょう」と笑う。

 今展の見どころは、大作群の新作「雪・星ふりしきる」(2020年)と、最新作「黒峠の陽光」(21年)の一対の作品。

 遠藤が「白い絵」と呼ぶ「雪・星ふりしきる」は、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた、昨春から取り掛かった。理論物理学者・アインシュタインの「人間とは、私たちが宇宙と呼ぶ全体の一部であり、時間と空間に限定された一部である-」の言葉から着想を得て、コロナ禍での生活で感じ取ったものを表現した。画面にはダイオウイカ、浮遊する人、魚や鳥、骨など多くのモチーフが重なる宇宙的世界が広がる。「コロナ禍で外での仕事が減り、朝から晩まで作品と向き合った」と振り返る。完成まで1000時間以上費やしたという。

 「黒い絵」の「黒峠の陽光」は、明治の歌人・葛原妙子の歌「黒峠とふ峠ありにし あるひは日本の地図にはあらぬ」から想像を膨らませた。蜘蛛(くも)の巣に手を伸ばす少女、炎をまとう魔物、太陽などが描かれ、画面の所々に見られる小さな花や闇の世界を照らす太陽からは一筋の希望の光が見て取れる。

 一対の作品には、コロナ禍に直面した作家の不安やとまどい、未来への希望が込められている。「描かれた人たちが1人ずつ物語を持っていて、それが集まって大きな物語となっている。登場人物の1人になって絵の中に入り込んで、体感してほしい」

 この50年間、描かない日は1日もなかったという。「体力と情熱が残っているうちに描きたい。80、90代になって見える光景を楽しみにしている」と創作意欲は尽きない。

12日まで。月曜休館。一般800円、高校・大学生500円ほか。問い合わせは同館、電話0463(35)2111。

2021年12月6日公開 | 2021年12月6日神奈川新聞掲載

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