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ドナルド・キーン展─日本文化へのひとすじの道 県立神奈川近代文学館で特別展

会場には、キーンが収集していたクラシック音楽のレコードや祭りの衣装なども展示されている=神奈川近代文学館(横浜市中区)
会場には、キーンが収集していたクラシック音楽のレコードや祭りの衣装なども展示されている=神奈川近代文学館(横浜市中区)

 県立神奈川近代文学館(横浜市中区)で、特別展「ドナルド・キーン展─日本文化へのひとすじの道」が開かれている。日本文化研究の第一人者であるキーンの生誕100年を記念した企画で、草稿や書簡、愛蔵の書画など約500点を展示。キーンの研究の軌跡だけでなく、日本文化への愛情、同時代の文学者たちとの交流をうかがうことができる。

 米国出身のキーンと日本文化との出合いは、18歳のときに読んだアーサー・ウェイリー訳の「源氏物語」。1953年には京都大学大学院に留学、書道や狂言の稽古にも打ち込み、谷崎潤一郎や川端康成、三島由紀夫らと交流した。帰国後はコロンビア大学で学生の指導と研究活動を行い、日本文学・文化を積極的に英語圏に紹介。76年から日本語と英語で「日本文学史」を刊行したほか、紀行文や日記文学の研究、明治天皇や正岡子規らの伝記にも取り組み日本人の心性に深く迫った。

 半年ずつニューヨークと東京で暮らす生活を約35年間続けたキーンだが、2011年の東日本大震災を契機に日本国籍を取得。生涯を日本で暮らす決意を表明したことも話題になった。

 キーンの養子で、浄瑠璃三味線奏者のキーン誠己は、同展のオープニングセレモニーで「素晴らしい展覧会を企画して下さって感謝している」とあいさつ。展示品に充実した英語のキャプションをつけることと、優秀な教え子たちを紹介することはキーン自身の希望だったことを明かし「父の願いをかなえていただき、うれしく思う」と万感の思いを込めて語った。

 同館の辻原登館長は「18年のポール・クローデルの企画展に続き、今年の吉田健一、そしてドナルド・キーンという日本の近代文学にとって重要な役割を果たしてきた3人の展示ができたことは当館にとっても日本文学研究においても重要なこと。この3人は今後も日本文化・文学に新しい光を当て続けてくれる存在だと考えている」と今回の特別展の意義について話した。

 7月24日まで。月曜休館(同18日は開館)。一般700円ほか。問い合わせは同館、電話045(622)6666。

2022年6月6日公開 | 2022年6月6日神奈川新聞掲載

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