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影絵劇
創立70周年影絵専門劇団「かかし座」 7月関内ホールで記念企画

横浜市都筑区を拠点に活動する日本初の影絵専門劇団「かかし座」が、創立70周年を迎える7月に関内ホール(同市中区)で記念企画を開催する。人気作品「三枚のおふだ」と「かぐや姫」を連続上演。代表の後藤圭(67)は「多彩な影絵の表現が詰め込まれた舞台をぜひ見てほしい」と呼びかけている。

かかし座は戦後間もなく鎌倉で開校した私立学校「鎌倉アカデミア」の演劇サークル「小熊座」が母体で、1952年7月に後藤の父・泰隆が設立した。NHK専属劇団として影絵劇を多数制作し、68年以降は舞台での上演を本格化。現在はおよそ20人の劇団員が在籍する。
父の急逝に伴い81年に代表となった後藤。生身の俳優の歌や芝居、ダンスと影絵を融合させたエンターテインメントを確立するなど独自の色を模索してきた。
「父がかかし座を始めたころは、無声映画の弁士のように、語り手が前に出て話す形式の公演が中心でした」。劇団員の誰もが影絵の技術と演技力を備える必要があるとの思いから、より高度な技量を追求し続けている。
日本の昔話を楽しく見てもらおうと上演する「三枚のおふだ」と「かぐや姫」も、影絵と躍動感あふれる俳優の演技が見どころだ。
「三枚─」は恐ろしいやまんばがコミカルに歌って踊り、小僧や和尚と手影絵での勝負を繰り広げるなど笑って楽しめる演出が満載。10年ぶりの一般上演となる「かぐや姫」は、狂言を取り入れた俳優の所作と美しい影絵が共演。笑いがこぼれるシーンを織り交ぜ、登場人物の関わりを情感豊かに描く。
影絵劇の魅力は観客が自由に想像を広げられることだと後藤は言う。例えば板人形を用いたかぐや姫の影絵はシルエットしか見えないが、「どんな表情なのか思いを巡らすことによって、その人の心の中のかぐや姫が立ち上ります」。

30年前から公演に取り入れている手影絵もかかし座のお家芸だ。素手を使って生き物などをかたどる動きは子どもにもなじみがあることから「自分たちの遊びとプロの熟練の技がつながるんです」と後藤。「板人形や大きく映る手影絵など、多彩な影絵が詰まったステージを楽しんでほしい」
影絵劇の上演のほか、独自の技術を使った影絵美術の制作、CMやアーティストのミュージックビデオへの影絵提供、海外公演など幅広く活動するかかし座。後藤は「創立80周年に向けて、インターネットを活用した活動や映像表現にも注力していきたい」と今後を見据えている。
両作品ともに脚本・演出は太宰久夫。「三枚のおふだ」は2日午後2時半、3日午前10時半、「かぐや姫」は2日午後5時半、3日同1時半開演。チケットは各公演とも一般3500円、3歳~中学生2千円。2公演のセット券は販売しない。3日のみライブ配信あり(2千円、アーカイブ視聴は10日まで)。問い合わせは劇団かかし座、電話045(592)8111。
2022年6月22日公開 | 2022年6月22日神奈川新聞掲載
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