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　「ｋｉｎｏ　ｃｉｎｅｍａ横浜みなとみらい」などで上映中。

　２０１５年に同性同士の結婚が法制化されたアイルランド。カトリック教徒が多数を占める保守的な国によるこの判断は、画期的な変化として話題になった。１９９３年まで、同国では同性愛が犯罪とされていたからだ。

　映画は同性愛が違法ではなくなってから２年後の同国を描く。依然として同性愛者を異端視する田舎町に住む高校生のエディ（フィン・オシェイ）＝写真右＝は、自身がゲイである事実を受け入れられずにいる。ある日、レズビアンであることを隠している同級生のアンバー（ローラ・ペティクルー）＝同左＝から偽の恋人を演じようと持ちかけられる。

　性的少数者をあざ笑う空気がはびこる中、異性愛者を装うことで平穏な学校生活を送ろうとする。共に過ごす時だけ素の自分でいられた２人は、互いにかけがえのない存在になっていく。

　閉鎖的な町に身を置く苦しみが２人を襲うが、ユーモアあふれるせりふ回しが軽妙さを演出。不器用なエディは愛らしく、自分に正直なアンバーは前向きな気持ちにさせてくれる。シリアスとコメディーを織り交ぜた描写が巧みで、笑いと涙なしでは見られない。

　「他人なんて関係ない。あんたの人生だよ」。男らしさの抑圧にもがくエディに対し、アンバーは言う。葛藤の先に、２人の揺るぎない友情が一筋の希望として光る。見る者の心を震わせるラストは必見。

監督・脚本／デービッド・フレイン
製作／アイルランド、１時間３２分

2022年11月5日公開　｜　2022年11月4日神奈川新聞掲載

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