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「ヨコハマ映画祭」で主演男優賞
主演映画「愛なのに」で初のベッドシーンに挑戦 瀬戸康史「思い切って飛び込んだ」

映画「愛なのに」に主演し、女子高校生に求愛される古書店主に扮(ふん)した瀬戸康史(34)。その演技が評価され、5日に関内ホール(横浜市中区)で表彰式が行われた「ヨコハマ映画祭」では、主演男優賞を授与された。
「人生で賞をいただく機会は、そうそうない」と受賞を喜ぶ瀬戸。映画、テレビ、舞台と休みなく活躍し、表現の幅を広げている。

肉体表現に初挑戦
昨年2月に全国で公開された「愛なのに」は、Vシネマやピンク映画で活躍してきた城定秀夫が監督を務めた。性的な場面があり、瀬戸は「肉体的な表現は初めて。これまでの僕のパブリックイメージにもなかったし、挑戦となる作品だった」と振り返る。
撮影現場では、監督自身が男性の助監督とベッドシーンを演じて説明するなどのサポートがあり、「恥ずかしがっている場合じゃないと思い切って飛び込んだ」という。「やってみたら意外とできるもので、あ、これも表現の一つなんだな、と思えた」と、自身の表現の幅を一層広げる体験になった。
古書店主の多田は「何げない日常を過ごしていた人物」だという。店にやって来る女子高校生に一方的に求婚された上、結婚相手への当てつけに初恋の女性から肉体関係を求められるなど、思いがけない出来事が続き、人を愛することの意味への問いに直面する。
「僕はポジティブな人間なので、最終的にはすがすがしさがあり、少しだけ世界が広がったような、未来が見えるような終わり方でよかったな、と思います」

三谷作品の魅力
昨年はNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、主人公・北条義時の弟、時房を演じた。天真らんまんなキャラクターは、「トキューサ」の愛称で視聴者の人気を呼んだ。「台本にも『トキューサ』とカタカナで書いてありました。別のドラマの現場でも、その名前で呼ばれてました」と笑う。
三谷幸喜による脚本の魅力を「当て書きもされていますが、役や演じる俳優への愛情をとても感じる。悪い人であっても憎めない」と語る。時房がうろ覚えの呪文として口にし、投稿サイト(SNS)でも話題を集めた「プルップ」を例に挙げ、「言葉のチョイスや入れ方、緩急の付け方がうまいのかも」とも。
その三谷が作、演出を務める舞台「笑の大学」に8日から出演。4月までのロングラン公演で、全国を回る。戦時色が濃くなった1940年を舞台に、喜劇を上演中止に追いこみたい警視庁検閲係(内野聖陽)と、瀬戸が演じる劇団の座付き作家による2人芝居だ。「せりふが多くてめちゃくちゃ大変ですが、楽しい。背後でうごめいているものもあるが、楽しく演じている」とほほ笑む。

相手を大事に
「自分が演じているところが想像できないものに興味がある」といい、出演する作品の決め手にもなっている。舞台でも映画でも、演じる上で大事にしているのは“相手”だ。「どういう感情が湧き起こるかは、相手がいないと分からない」と、せりふだけ覚えて現場に入る。
表現することへの関心が高く、イラストを描くのも得意。出身地の福岡県嘉麻(かま)市との共同プロジェクトでは、瀬戸が故郷への思いを込めて描いたキャラクター「カマシカちゃん」が、PR動画に登場する。「演じることが軸にはあるが、何でもやりたい」と旺盛な意欲を見せた。
2023年2月20日公開 | 2023年2月20日神奈川新聞掲載
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