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小手伸也さんに聞く バイプレーヤー極めたい

「劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』」で、テレビドラマから引き続き、麻酔科医の冬木治朗を演じる。最新の医療機器と手術室を搭載した大型車両のERカーで、災害や事故現場に駆けつける医療チームの活躍を描く。横浜ランドマークタワー(横浜市西区)で爆発事故が起こる緊急事態に、チームは東京から横浜へ出動する。
「チームには『1人も死者を出さない』という使命があるんですが、現実的にはそんなことがあるわけないというファンタジーでしょうし、実際の医療現場では命に対して達観するところはあると思います」と現実を見据える。
「でも、そういう現場の人たちの夢をかなえたいというか、その人たちの頑張りに対して、きちんとエールを送りたいという気持ちがある作品です」
だからこそ、医療専用の台本が用意されるほど、リアリティーにこだわった撮影現場だった。「例えば、手術時の出血が多い時は麻酔レベルをどうするのか。先生に詳しく聞いて勉強しました」

演劇に出合ったのは高校生の頃。大学卒業後は小劇場に出演しながら、アルバイトで生計を立ててきた。話題のドラマに出演するようになっても、コールセンターで受注電話を受ける仕事を続けた。
「安定した収入はもちろんですが、いろんな役を演じる上で実社会とのつながりを失うとだめなのではないか、との思いもありました」と明かす。
だが、2018年にドラマで織田裕二さんのライバル弁護士を演じ、思いが変わる。「第一線で活躍する先輩に対して、失礼なことをしているのではないか」と俳優一本でやっていく覚悟を決めた。
「若いうちにブレークすればよかったね、と言われることもありますが、これまでの経験がなかったら自分は使い物にならなかった。アルバイトをしていた頃を、下積み時代だとは思いたくない」
舞台での経験を生かし、今は「バイプレーヤーを極めたい」との抱負を抱く。
「役者と役者との間に生まれる熱量を常に考えて演じています。誰かを引き立てることに職人でありたい。さらにいえば、相手のいい演技を引き出すパワーが僕にあればいいんですけどね」

こて・しんや
俳優、作家、演出家。1973年、横浜市生まれ。早稲田大卒。劇団「innerchild」を主宰。2016年NHK大河ドラマ「真田丸」、17年「仮面ライダーエグゼイド」、18年「コンフィデンスマンJP」「SUITS/スーツ」で注目を集め、映像作品を中心に幅広い役柄で活躍する。NHK大河ドラマ「どうする家康」、テレビ朝日「unknown」に出演中。今後の出演映画に、28日公開「劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~」、6月23日公開「大名倒産」など。
記者の一言
取材するテーブルにERカーのティッシュボックスが。「欲しいですね」と話しながらの1枚となった。横浜ランドマークタワー周辺での撮影は道路を封鎖して行われたが、ERカーの存在で気付いた人もいたらしい。車内で緊急手術を行う場面では、カメラに映らないところでも各自が手を止めず、本当に手術を行っているようだったという。「喜多見チーフ(鈴木亮平さん)は指示を出しながら手を動かし、(看護師役の)菜々緒さんが器具を手渡すタイミングも見事で」と小手さん。「互いへのリスペクトが、チームワークを高めた一因でもありました」。画面からもその結束力がひしひしと伝わる。同タワーの派手な爆発は「よく許可してくれましたね」と小手さんも驚くほど。ぜひ劇場で堪能してほしい。
2023年4月24日公開 | 2023年4月23日神奈川新聞掲載
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