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ダンス公演「さかさまの世界」、横浜で開幕へ 振付家・伊藤郁女「子どもの想像力は世界を変える」
- KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)

子どもたちから教えてもらった「秘密」を基に創作したダンス公演「さかさまの世界」が7月1日、KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で開幕する。振り付けと演出を務めるのは、フランスを拠点に活動する振付家・ダンサーの伊藤郁女(かおり)。「子どものイマジネーションにこそ世界を変える力がある」との思いを込めて、作品を手がけている。
1月からフランス東部のストラスブール・グランテスト国立演劇センターの総芸術監督として指揮を執るなど、目覚ましい活躍を見せる伊藤。KAAT恒例の「キッズ・プログラム」の一環で上演する本作は、同国で2年前に初演した作品の日本版だ。両バージョンとも、地元の子どもたちから創作のヒントを得ている。

「かつて自分の持つ世界観が人とは違うと感じ、秘密にすることが多かった。今の子どもたちが悩んでいることや大事にしているものは何だろう」。この疑問が創作の出発点にあったと、伊藤は言う。フランスで複数の幼稚園に出向き、自作の紙芝居を使って子どもたちの秘密を引き出すと、その内容は遊び心にあふれていたと振り返る。
初演は、異常な気候変動で逆さまになった世界を元に戻すためには子どもたちの声やイマジネーションが必要─とのあらすじで展開。日本版はフランス公演をベースにしつつ、物語性を薄めるなど趣の異なる一作。出演者が童心に返ることに重きを置きながら、子どもからお年寄りまで楽しめる舞台を目指す。
日本ではKAAT近隣の幼稚園など2カ所を訪問。そこで集めた子どもたちの秘密や想像力を作品に織り込む。公演にはダンサー3人と俳優1人のほか、録音した子どもたちの声も登場する。

「世界を救うのはカマキリ」「恐竜が戦う優しい夢を見た」といった、独特の感性が光る子どもの言葉が印象に残っている。「争いが絶えず起こるなど、いつの時代も世界は異常」との前提に立つ伊藤は、「子どもの発想こそが、世界を逆転させる力を持つ」と信じている。
周りと違ってもいい、完璧じゃなくてもやっていける。こうしたメッセージもにじみ出る本作は、個々の想像を広げながら希望を持てるような作品でもあるという。
「子どもも大人も、日常のプレッシャーから解き放たれる特別な時間になると思う。劇場を出たときに思わず踊りたくなる、そんな舞台を届けたいですね」
7月1日から9日までの土、日曜の4日間、計6回上演する。料金は一般4500円、4歳から高校生まで千円。問い合わせはチケットかながわ、電話(0570)015415。
2023年6月17日公開 | 2023年6月16日神奈川新聞掲載
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